代表からの御挨拶



伊豆 ユネスコ クラブ 代表 小林惠智

●はじめに
ユネスコは、『国際連合教育科学文化機関(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization U.N.E.S.C.O.)のカナタナ語であり、その設置目的は、「諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進」とした 国際連合の専門機関であることは御存じの通りです。
且つ、余りにも有名な『UNESCO憲章の前文』は、ユネスコ加盟諸国の政治家や国民には、よく知られていますが、実現には程遠い感があります。
結果、人類は有史以来15000回もの戦争を起こし、現代に於いても、ユネスコ憲章が共有されているにも関わらず、人々の多くの心の中に戦争の火種が延々と燃え続けています。
その上、我が国をはじめ、先進国の経済を支えている一端が武器の製造や輸出が平然と行われていることにあります。
事実、今、この瞬間にも、20万年前には、只一人の太古母(通称DNAイヴ)から生まれたはずの私たち人類が、地球の持続性(サスティナビリティ)を棚上げし、権益争いで戦争を続け、直接間接に殺しあっています。
皆さん、身近なところでは、日本ですら武器輸出三原則は蔑ろにされ、戦争を放棄している国家として有るべき姿である『武器は造らない・売らない・使わない』は空論にされています。

だからこそ、今、ユネスコだと考えています。
第二次世界大戦の教訓から生まれた『ユネスコ憲章』の前文を、今一度読み返しましょう。
そして、更に考えを深め、戦争の無い世界の実現の第一歩として『軍隊を必要しない平和な世界』の実現に共に手を携えて能動的に行動しようではありませんか。

The Governments of the States Parties to this Constitution on behalf of their peoples declare: That since wars begin in the minds of men, it is in the minds of men that the defences of peace must be constructed; That ignorance of each other’s ways and lives has been a common cause, throughout the history of mankind, of that suspicion and mistrust between the peoples of the world through which their differences have all too often broken into war; That the great and terrible war which has now ended was a war made possible by the denial of the democratic principles of the dignity, equality and mutual respect of men, and by the propagation, in their place, through ignorance and prejudice, of the doctrine of the inequality of men and races; That the wide diffusion of culture, and the education of humanity for justice and liberty and peace are indispensable to the dignity of man and constitute a sacred duty which all the nations must fulfil in a spirit of mutual assistance and concern; That a peace based exclusively upon the political and economic arrangements of governments would not be a peace which could secure the unanimous, lasting and sincere support of the peoples of the world, and that the peace must therefore be founded, if it is not to fail, upon the intellectual and moral solidarity of mankind.
For these reasons, the States Parties to this Constitution, believing in full and equal opportunities for education for all, in the unrestricted pursuit of objective truth, and in the free exchange of ideas and knowledge, are agreed and determined to develop and to increase the means of communication between their peoples and to employ these means for the purposes of mutual understanding and a truer and more perfect knowledge of each other’s lives; In consequence whereof they do hereby create the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization for the purpose of advancing, through the educational and scientific and cultural relations of the peoples of the world, the objectives of international peace and of the common welfare of mankind for which the United Nations Organization was established and which its Charter proclaims.

●伊豆 ユネスコ クラブは『反戦ユネスコ』です。
私たちは、心に平和の砦を築くに留まらず、より能動的に、一人でも多くの市民に「戦争をしない・させない」という哲学を持っていただく事を推進してゆきます。
生態学的に、哺乳類の子供の多くは遊びを通じて、大人なる準備を行なうことを自然の摂理としています。
しかし、人間という哺乳類、特に衣食が足りている国家における子供達は、金融資本論の悪影響から功利主義、営利優先の社会で育てられ、ソーシャルマインド コントロールを受けています。
当然、その背景には、企業や大人が子供に遊びを与え、遊びの消費者にして経営を成立させている事があります。
目に余るのは、過度な情報化です。
無知な大人に負けず劣らず、子供たちは『対戦型ゲーム』に夢中になり、闘争心や競争心を煽動され、個人固有の存在意義を忘れさせられ、他人との比較のみで『自分の優劣』を感じ取らされ、優越感と劣等感という心理を子供心に植え付けられています。
私たち人類は、バクテリアを含め、森羅万象と共生してゆく以外に生きる術を持っていません。
にも拘らず、戦争や公害に代表される生命軽視、つまり『地球虐め』は、今日、人類存亡の危機を繋がっています。

考えてみて下さい。
目先の利益に囚われた大人たちの多くは、“競争”という行為を過度に讃美し踊らされ、『収入格差⇔教育格差⇔身分格差⇔資産格差』を強く連関させ、持てる者 (勝ち組)と持たざる者(負け組)の二項対立の固定化を招いています。
そして、その投影から全面戦争の前段としてのゲリラ(テロ)行為に対して、『ユネスコ憲章』を承認している国々ですら、武力に対して武力で対抗しようとし、更に悲惨で深刻な現実を招いています。
 今、私たちが真剣に考えるべきは『戦争を必要としない世界の再構築』です。
それには、先ずは教育改革です。
全ての企業が、全ての政治家や官僚が、全ての大人が『子供の手本』となる生活の実践が必要です。
子供から尊敬される大人の居ない国に、恒久的平和は実現しません。
単なる消耗戦としかならない『意味の無い競争』は、正に戦争の火種なのです。
私たちは、『正しい競争』とは『己の敵は己』の自覚から始まると考えています。
そもそも「競争」とは、協奏(和)の延長線上にあるべきで、「狂騒」になってはならないのです。

 私たち伊豆ユネスコクラブの会員一同は、「戦争をしない・させない」ことを堂々と発言できる人間となり、日本、否、世界の隅々にまで『反戦』の心を伝えられる、次世代である子供達を、共に育成しようではありませんか。
それには先ず、「大量生産・大量消費・大量廃棄」による地球の負荷を軽減しうる「知識や技術」を開発し、利用可能な文化に転化できる次世代(子供達)を育成することです。

 徳育・知育の前提は体育、正に心技一体、心身一如であり、医薬同源を踏まえ、食品に必要以上の加工をしたり、意味の無い廃棄を防ぐため、「贅沢をしない・させない事」こそが『価値ある生き方』である事を、子供達の心底に刷り込まなければなりません。
心身の健康は、医食同源の心の上に成り立ちます。
それを体験し、体験させる勇気を大人に持たせ、家庭で実践する。
それが「尊敬される大人」の役割であり、食育の基本だと信じています。
 皆さん、個人としての大人は勿論、横向きな人生を送る社会人は『集団浅慮』に陥りやすいのです。
そして、その典型が、利益の為には手段を択ばない反社会的企業であり、哲学の無い官僚や政治家です。
 皆さん、本当に、彼らを『未来社会を担う子供』の手本とさせても良いのでしょうか。

●伊豆 ユネスコ クラブの教育方針
 伊豆 ユネスコ クラブの体験を通じた教育の基本は、絶えず10年先を見据え、強く優しい人間に必要な『総合的人間力』の基礎を『体験』を通じて青少年に修得させてゆきます。
また、日々の生活の中で途切れさせずに行う『自分経営』を支援し、何時如何なる場合にも、平常心を保って自分の強みを発揮できる『安定した心身』を維持強化させる力の原点を修得させ、次代の世界を担う児童学生の『人間としての底力』を鍛えるのが私達の役割であると私達は自覚しています。

1、教育の基本は、『食育』から。
「医食同源」の発想から、健全なる心身の基本となる『食』に関する正しい知識と技術の基本を、体験教育を用いて習得させます。

2、暴力(虐めなど)や戦争を無くす『徳育』について 自分の持ち味を磨きあげ、自分の過去に勝ち続ける意志を育て、家族や仲間、広くは人類を纏め、社会の正義・公正性を実現させられる力の原点を修得させる。

3、文明や文化を担い創造性を高める『知育』について より安全で、より安心して生活できる社会や世界を実現する為には、日進月歩の『知識や技術』に呼応して学び続け、絶えず本質的な問題や課題に着目し、解決策を提案できる力の原点を修得させる。

4、持続力、継続力を高める『体育』について 継続は力。
自分の理想像を実現する為には、納得できる成果を得るまで諦めない体力を得るためには、絶えず基礎体力を増強させる意識と、其の為の技術の原点を修得させる。

5、協働力、支援力、指導力に繋がる『人間力』について 言葉・宗教・人種・国籍・思想といったあらゆる違いを越えて不特定多数の人間と協働する為には、一人一人に『個性の強み』を自覚させ、他者の能力を素直に認め、『日替わりリーダー』の登場を心より歓び、支援できる力を修得させ、依存心を払拭して『自立・自律』させるとともに、他者の個性の強みを発見して活かし、支援し、自らの強味を加え活かして社会と関わり、職業を通じて社会に貢献できる力の原点を修得させる。

6、優しさと強さに繋がる『寛容力』について 優しさは、甘さとは異なり、来る者を拒まず去る者を追わない『勇気という強さ』であり、周囲の人間の成長を支援できる力の原点を修得させる。

7、自然体の精神力に繋がる『平常心』について 無常、絶えず変化し続ける状況にあっても『平常心(自然体)』を保ち、他者の評価など気を取られず、自分の底力(強味)を発揮し続ける力の原点を修得させる。

8、自負心に通じる『有能感』について 自分を知り、自分固有の力を発見し、小さくとも具体的な成功体験をさせる事で利他を実践しつつ『自分なら出来る』という有能感の原点修得させる。

9 社会を正し続ける『正義感』について 戦争や対立の無い協働が実現した国際社会で活躍する人間は、如何なる状況にあっても集団浅慮に流されず、自分らしい価値感(思想・哲学)を公言し、自他を活かす為には自己犠牲も厭わないという勇気の原点を習得させる。

●伊豆ユネスコクラブ『南伊豆ゲレンデ』は、子供達に体験教育を施すと同時に、『子供に尊敬される大人』の実現を支援する場です。
 親子など大人と子供が共働し、原野を開墾して畑をつくり、種をまき、管理をしながら収穫し、自分たちで調理をして、仲間に振る舞い、作る歓びを体験させると同時に、ツリーハウスやログハウス造りを通じて、野営や野遊びを体験しつつ、『生命の故郷』である自然と海の大切さを遊びを通じて学ばせ、子供たちに『生きている喜び』の体験を通じて、人生の目的を感じ取らせ、妄想を排して理想を掲げさせ、理想は目標に 分解して、確実なる目標達成を支援するための場とします。

●蛇足になりますが、私は社会の安全や安心を無視し、市民を権力で捻じ伏せるような反社会的組織、電源開発Jパワーのうような不当行為を平然とする反社会的企業や、利益の為には市民を犠牲にして平然としている反社会的団体の存在を絶対に許しません。
以上、散文的になりましたが、伊豆ユネスコクラブの幹事・会員を代表して、設立の御挨拶に代えさせて頂きます。

2016年1月21日 


 

 
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