始まりの始まり
 

私はシーカヤックという北方民族にルーツを持つ手漕ぎ舟にて旅をしている自然ガイドです。
今までにその舟にて日本一周や諸外国内の旅をしておりますが、航海経験はまだ少なく地球約半周程度です。
昨年までは日本の海岸線を時計回りに一周の航海をしておりました。
私にとっての未知の領域は常に新しく魅了なる月日でした。
これから毎月にエッセイを寄稿していきます。よろしくお願いします。

静岡県にも春がきました。
海の中にも山の中にも新たな命が健やかに逞しく芽吹いております。
その芽吹きの中には一千年の時を生きる樹木もあるでしょう。
命の故郷である海がそれらの全てを繋げております。
様々な自然が作り出す壮大な物語をなかなかに理屈や理論では語れないのですが、
プロの自然ガイドとしてその物語に心を寄せる時間を多く持つようにしています。

今回のお話は、手漕ぎ舟シーカヤック日本一周の旅に出発した時のお話です。
当時の私の年齢は三十二歳でした。
みんなが一斉に前を向いて走り続けている様な社会の中で、突然にバッと後ろを振り向いてみんなと違う方向に全力で走り出した。そんな感覚がある出発時でした。
不安よりも何かが始まったワクワクする気持ちが強かったです。
不思議な感覚なのですが、地球と深く繋がった感覚もありました。
それはある程度の旅の覚悟を持てたから生まれた感覚なのかも知れません。
そして出発してから自分なりに悟りました。
何事も始めなければ始まらないのです。
皆様の新しい旅立ちの順風満帆を願っております。
一緒に楽しんでいきましょう。

鈴木克章

 
2024年4月
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